3月3日公開!映画「ラビング」で思い出す、アメリカ・バージニアでの高校留学
つい60年前まで、アメリカのバージニア州では異人種間の婚姻が違法だったのをご存知ですか?
バージニア州の高校に通った私には、ちょっと頷ける話かも。私がバージニアに住んだのは交換留学生としてたったの1年間。湾岸戦争が勃発した頃でした。
■実際に通ったバージニア州の高校は・・・
私が通った公立の高校は州内で4番目によいとされている学校でした。ざっくりと学校の60%が白人、39%が黒人、1%がアジア人で占められていたと思います。(←かなりテキトーに言っています)ラテン系がいたかもしれませんが、覚えていません。
ちょうど、新学期から入ったのですが、いきなり“ぽ~ん”とクラスに入れられ、英語が全然聞き取れない私は、本当になにが起こっているかもわからず、とにかくテンパっていました。アメリカの公立の高校は、大学のように授業によって教室が移動するので、自分のクラスや担任教師というのもなく、スクールカウンセラーに言われるがままに選択したクラスへ移動するのがやっと……。
やたらでっかい学校だったので、教室の場所さえもよくわからず、半べそをかきながら校内をさまよっていたので、毎回遅刻。遅刻したら当然、罰があるわけで……。しかし、それが“罰”だとも分からず毎日“Detention Room”に送られていました。
Detention Roomというのは、校則を破った問題児が閉じ込められる“自習室”のことだと理解できたのは1ヶ月ぐらい経ってから。この自習室に入れられると、クラスに出席できず自習をさせられます。ランチの時間になると、問題児が列を組んで先生にカフェテリアに連れていかれるという仕組み。
そのDetention Roomから問題児たちがカフェテリアに入ると、皆がひそひそと笑うんです。言葉がわからなくても、からかわれたり、ばかにされたりはハッキリ分かるから不思議ですよねー笑。
まぁ、半年ぐらいたって英語がちょっと話せるようになってからは、友達もやっと出来て、Detention Roomを卒業することができましたが、長い冬だった……。
本題に戻りますが、この学校のカフェテリアで驚愕したのは、人種別に生徒が完全に分かれて座っていたこと! カフェテリアの半分白人、残り半分黒人、そして隅にアジア人がご飯を食べていたんです。
別に人種別に対立していたわけじゃないし、異人種間のカップルもたくさんいたけれど、アメリカに巣食う根深い人種問題を実際に体験したのは、このときが初めてでした。1990年代だったのにね~。
というわけで、3月3日に公開される映画『ラビング 愛という名前のふたり』の南部の土地柄には、日本人の私でもちょっと共感できたんです。
■日常に疲れた奥様方、必見! 映画『ラビング 愛という名前のふたり』
『ラビング 愛という名前のふたり』は1958年のバージニアを舞台にした白人のリチャードと黒人のミルドレッドが、異人種間の婚姻を禁止する法律と戦う話です。
ふたりは異人種間でも結婚できるワシントンDCで結婚するのですが、バージニアに戻るなり逮捕され、州外へ追放されます。そして、ミルドレッドは、ロバート・ケネディ司法長官宛に1通の手紙を書きます。
この映画、なんと実話なんです! しかも、ラビング夫妻の名前はLOVING。
愛という名前のふたりなのに、愛することが罪になっちゃうの?
無骨だけど正直者のリチャードと家族を愛してやまないミルドレッドの二人の静かな苦悩と愛に、心がかきむしられるようでした!
バージニアの自然が素晴らしく、細部までこだわった演出と脚本で物語の一瞬一瞬を美しく紡ぎ出すのは、今最も注目を集める若手監督、ジェフ・ニコルズ。
そして、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているルース・ネッガ(ミルドレッド)、リチャードを演じるジョエル・エドガートンの演技は、かなり、神ってます! 特にジョエル・エドガートンがオスカーにノミネートされなかったのが信じられない!!! 作品賞にだってノミネートされるべき珠玉の作品に仕上がっています。
ついつい見つけてしまう夫の欠点や言うことを聞かない息子への不満で、しょっちゅう愚痴をたれてしまう自分を、この映画のおかげで珍しく反省することができました。そして、同性間の結婚がまだ認められていないことを悲しく感じました……。
私のようにささいなことで不平不満が溜まっている奥様方、ぜひこの映画をみることをオススメします!
「信じることはパワーです」
「愛は勝ちます」
【参考】
映画『ラビング 愛という名前のふたり』公式サイト - 3月3日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
【画像】
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ライアン・ゴズリングの筋肉は見られないけど……「ナイスガイズ!」がナイス!
2017年はライアン・ゴズリング祭り! 2月18日に公開の映画『ナイスガイズ!』に続き、アカデミー賞最有力候補といわれる『ラ・ラ・ランド』が2月24日に公開されます。そして11月には『ブレード・ランナー』の続編も公開されるとか! ゴズリングファンの私にとって、本当に嬉しい1年。
まずは、2017年ゴズリング祭りの第一弾、『ナイスガイズ!』を観てきました。『ラ・ラ・ランド』のロマンチックなゴズリングよりもこちらの映画の彼のほうがオススメ!と言う人も多いので、か~な~り~期待して行きましたが、うん、期待どおり面白かった~!
舞台は1977年のLA。実直だけれど筋肉バカの示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)と、ずるいけれどアホでアル中の私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)が、ひょんなことからコンビを組むこととなり、連続殺人事件に巻き込まれていく……というサスペンス仕立てのアクションコメディです。
ヒーリーとマーチのドタバタな掛け合いをみていると「このコンビ、『リーサル・ウェポン』に似てなくない?」と思ったんですが、案の定、この作品の監督/脚本は『リーサル・ウェポン』で脚本家デビューを果たしたシェーン・ブラックだったんですね~。
『リーサル・ウェポン』(1987年)は大好きな映画なんですが、ワザとらしいほど哀しいリッグス(メル・ギブソン)のキャラクター設定(ひょっとしたらギブソンの演技のせいかもしれないけど)が正直鼻につくときがありました……。が、この『ナイスガイズ!』にはそういう“ヤリすぎ”がないんです!
ヒーリーもマーチもめっちゃ頭が悪くて、実際に捜査を進めていくのが、唯一賢いマーチの娘、13歳のホリー(アンガーリー・ライス)。
映画のタイトルは『ナイスガイズ!』ですが、ナイスなのはホリーだけ笑。子供のホリーだけがモラルと良識をもった人物なのです。こういった人物描写とジョークのミックスマッチがこの映画の最大の魅力かも!
それでは、この映画の見所をざっくりと3つご紹介します~。
■1:ラッセル・クロウxライアン・ゴズリングのケミストリーが最高!
いつの間にか膨張してクマ男化しちゃったラッセル・クロウと、珍しくダメダメ男を演じているライアン・ゴズリングの見事なケミストリーは、演技とは思えないぐらい観客を笑わせちゃう!
キャラクターに絶妙にマッチしたジョーク、そして体をはった芸人のようなスタントに映画の最初っから最後まで笑えます。とりわけ、ゴズリングのトイレのシーンが最高!
■2:70年代後半のファッション、インテリア、クラシックカー、音楽に心を奪われる!
ホリーが魅せるティーンファッションは本当にオシャレ! バギージーンズ、刺繍入りデニムジャケット、ジャージのコーデは今の時代でもマネできそうー。
パーティーシーンに登場するフォークロア、マキシドレス、レインボウなど、サイケ・ボヘ調に彩られるファッションもめちゃくちゃ素敵。ヒーリーやマーチのヴィンテージルックも見逃せません。
また、ミッドセンチュリーの家具、幾何学模様やボタニカルの壁紙、ゼブラのハラコに真っ赤なウォールなど、ヴィンテージインテリア好きにはたまらない~!
しかも、ポンティアック、ベンツ、ワーゲン、メルセデスなど、60年代後半から70年代後半の名車がズラリとお目見え!
アース・ウィンド&ファイアー、テンプテーションズ、キッス、ビー・ジーズやアル・グリーンなどの音楽がリアルな70年代のムードをオン! クラシックロック、ディスコやファンク好きさんには必見の映画です。
■3:笑いのなかに社会風刺が仕込まれている!?
ブラック監督がスゴいな、と思わせるのはコメディのなかに“嫌味にならない程度”の社会風刺が密かに仕込まれているところ。
70年代後半に絶頂期を迎えたポルノ産業と自動車産業、この相反するような二つの産業ですが、それぞれのパーティーシーンはそっくり!?
女性をモノとして扱うポルノ産業、環境を汚染する自動車産業、両産業ともに人間性と自然を破壊しちゃう“バッドガイズ”とも考えられますよね。
これら産業を軸にしたサスペンス展開にブラック監督の“想い”が込められているような気がしましたが、皆さんはどう思われるでしょうか? 特にラストシーンのヒーリーとマーチのダイアローグには、注意してみてくださいー!
ヴィンテージカルチャーに酔いしれながら、手に汗を握りつつ腹を抱えて笑い、最後にちょっと考えさせられる『ナイスガイズ!』は、一級の娯楽作品に仕上がっています。男性と女性両方にオススメですよー!
【参考】
※ 映画『ナイスガイズ!』公式サイト – 2017年2月18日、新宿バルト9ほか全国ロードショー
【画像】
※ (c)2016 NICE GUYS, LLC
【配給】
※ クロックワークス
働き女子はマネしたい!? 公開中「アラビアの女王」にみるファッション
今日は、先日21日にワシントンDCで行われた『女性のマーチ』と同日公開になったニコール・キッドマン主演の映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』のコノ話です。
『女性のマーチ』にふさわしいこの映画。なんといっても、女性が主役! ロバート・パティンソン、ダミアン・ルイス、ジェームズ・フランコといった個性派で名高い俳優陣が完全に脇役に徹しちゃっているから、まさに女性のための映画です。
■“アラビアの女王”って知ってた?
ガートルード・ベルについて皆さんはご存知ですか? “アラビアのロレンス”ことT.E.ロレンスに関しては映画や本で知っている方は多いハズ。私も映画『アラビアのロレンス』や神坂智子さんの漫画『T.E.ロレンス』が大好きで、ほかにも何冊か本を読んだことがあるのですが、ベルについてはまったく知りませんでした!
なんと、アラビアのロレンスよりもずっと前にアラビアの砂漠で活躍していたのだとか!
ベルはヴィクトリア朝に鉄鋼王の娘として生まれ、オックスフォードを卒業した才女。でも結婚以外の道を模索してアラビアの地へ赴き、“トラベラー”、“考古学者”としてシリア断行どころか世界一周の旅までも果たします。上流階級の女性でも結婚しか選択の余地がなかった時代に、ひとり旅(もちろん案内人はいますが)を決行してエッセーを書くなんでめちゃくちゃスゴいんですが、それだけじゃないんです!
その知識と行動力を買われてイギリス諜報員として活躍したり、オスマン帝国からベドウィン(アラブの遊牧民族)を解放したり、イラクの国境を画定したりなど、素晴らしいキャリアを築き上げたんです。様々なアラブの部族との深い交流や理解から、アラブの民からも“砂漠の女王”と親しまれるほどに。
芯の強い優雅な表情で私たちを魅了するニコール・キッドマンの演技ですが、作中でみるベルの衣装も見所! 特にベルのファッションが、キャリアアップと共に変化していくのが興味深いんですよ~。
■ファッションの変化も見所!
↑ブローチ、ベルト、ヘアアレンジ、可愛いですよね~!
ヴィクトリア朝では“白の衣装”は上流階級の証。洗濯機もなかった時代に“白”で装うのは、使用人がいるお金持ちの特権だったから。
結婚以外の道を模索してテヘランにやってきたときのベルはオールホワイトコーデ。乙女心をくすぐるホワイトコーデがとっても清楚なのですが、キャリアを築いていくうちに、ブラックのトップスや紺ジャケットを着用するように。まるで働き女子が出世する様をみるみたいなんです。
ヘアアレンジ、ストール、ベルト使いなど、今の時代にもマネしたいオシャレテクがつまっていますよ~!
ストールテクについては小学館『美レンジャー』で書いているので、よろしければご覧下さいね。
【映画で美活!】実は使える「アラビアの女王」に学ぶストールテク
さらに、砂漠の部族の心をつかむベルのコミュニケーションスキルも働き女子はお手本にしたいところ!
小アジア、シリア、アラビア、ユーフラテスへの探検……ベルを突き動かしたのはなんだったのか!?
その答えはこの映画をみて!
映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』はベルの活躍と切ない恋を描いた壮大な大河ドラマ。雄大なアラビアの絶景と優美な音楽は、わたしたちを中東ロマンへと導いてくれます。慌しい毎日を送る女性の皆さん、この映画でひと時の冒険を味わってくださいね~。
【画像】
※ ©2013 QOTD FILM INVESTMENT LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
【参考】
※ 映画『アラビアの女王 愛と宿命の日々』公式サイト – 2017年1月21日(土)新宿シネマカリテ、丸ノ内TOEIほか全国順次公開
【配給】
※ ギャガ・プラス
久々の秀作!映画「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士」が地味スゴって話
「映画で美活する」映画美容ライターの此花さくやです。
今日は、2月25日(土)に公開される映画『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士』のコノ話です。
どうですか、このビジュアル? どこからどう見ても重そうな映画ですよね。そのとおり、テーマはおも~いです。観た後は誰しも「ヒューマニティって何!?」と自問自答しちゃう作品です。心の美容にもたまには真面目な刺激がないとね。
ミルグラム博士の“アイヒマン実験(ミルグラム実験)”はアメリカの心理学入門では必ず習う実験です。“パブロフの犬”並に有名で、私もアメリカの大学1年生のときにPsychology101で学んだ記憶があります。
ミルグラム博士はホロコーストを逃れてNYに移住した両親をもつユダヤ系アメリカ人。「なぜナチスの大量虐殺をドイツ国民が許してしまったのか?」という問いに答えるべく、“権威に対する服従心理”を科学的に証明しようと、アイヒマン実験を試みました。
人はなぜかくもたやすく権威に服従するのか……!?
その答えはぜひこの映画をみてください! モレなく答えを見つけることができますよ!!!
さて、ストーリーはミルグラム博士の実験を映画化しているのですが、スローペースでとくにドラマチックなシーンもないのにもかかわらず、斬新な映像と演出、そして何よりも、ピーター・サースガードの名演技で観客を飽きさせないんですよ~!
監督は『ハムレット』や『アナーキー』のマイケル・アルメイダ。演劇と映画を上手に融合する監督の手腕はこの映画でも発揮されていたと思います。
しかし……それもピーター・サースガードの見事な演技があってからこそ~! 静かな苦悩に満ちた心理学者然としたアクティングはあっぱれです! イケメン俳優のような三枚目のようなどっちつかずのルックスで、鼻にかかる声が妙に怪しくてセクシー。この映画でピーターの自然な迫力ある演技に恋しちゃいました~笑。こういうルックスの俳優が最初は名脇役として名をあげて、最後に良質な映画で主役をはっちゃうんだろうな。派手さはないけれど確実に名優になりそう~。
ちなみに、ウィノナ・ライダーも博士の妻役で出演していますよ。人気絶頂期の彼女なら出演しそうにない映画かも~笑。
余談ですが……ピーター・サースガードといえば、ちょっと古いけれど私のお気に入りの作品は↓
ロネ・シェルフィグ監督でキャリー・マリガン主演の『17歳の肖像』(2009年)です。
地味だけれど質の高い映画をみたいときは、『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士』がオススメですよ!
2017年2月25日、新宿シネマカリテほか全国順次公開
(C)2014 Experimenter Productions, LLC. All rights
大人可愛いメイク…でも怖~いストーリー!もうすぐ公開される映画「ネオン・デーモン」が衝撃的
ライターの此花さくやです。
本日から美容・ファッション・海外エンタメ、その他私的なコトを綴るブログを開設しました。どうぞよろしくお願いいたします!
皆さん、お正月はいかがでしたか?
此花は、くっちゃねXくっちゃねX海外ドラマX映画三昧で、美容ライターであるにもかかわらず、また膨張してしまいました…。ネタ探しのためにも本当に効くダイエットを見つけないと…。
さて、2016年に試写会で観た映画のなかでも、とりわけオシャレでダークな物語は、来る1月13日の金曜日に公開される『ネオン・デーモン』。
田舎の少女がモデルになるためにロスへ引っ越してきて、女としてモデルとして“豹変”していく映画です。
目に突き刺さるような光と映像、耳に衝撃を残す音楽で観客を魅了するのは、ニコラス・ウィンディング・レフン監督。そう、ライアン・ゴズリング主演の「ドライヴ」の監督です!(ライアン・ゴズリングといえば、来月公開される『ラ・ラ・ランド』をまだ観てないんです! 早くみたいーー!)
好き嫌いがハッキリ分かれる映画だと思いますが、エル・ファニングやキアヌ・リーブスの新たな一面を引き出したのはレフン監督の力量だと思います。
エンポリオ・アルマーニやイヴ・サンローランのモードでゴアなファッションや、今年流行のモーヴピンクカラーやビジューを取り入れたメイクは必見ですよ!
メイクについては小学館『美レンジャー』で解説しているのでよろしければご覧くださいね。
メイク&オシャレ好き必見!映画「ネオン・デーモン」に見る最新トレンド - 美レンジャー
去年、レフン監督の来日トークイベントを取材させていただきましたが、ご自身が抱える色弱、失語症、過敏症などをアートに昇華させるレフン監督の人生観には、スレたアラフォー女の私でもむっちゃくちゃ感動しました!
オシャレギークな北欧男子といった外見の監督ですが、言葉を選んだ重みのある発言にユーモアというスパイスをたっぷりきかせた会話は、さすがに鬼才の名にふさわしい貫禄でした!
取材の模様も記事にしておりますので、よろしければ読んでみてくださいー!
【心の美容!】「人生は弱みを強みに変える旅」レフン監督の言葉に感動 - 美レンジャー
『ネオン・デーモン』はエッジのある映画好きさんやオシャレさんにオススメの映画ですよ。
さあ、今年もたくさん映画を観るぞー!
皆さんもおもしろい映画やドラマがあれば教えて下さいね。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!