久々の秀作!映画「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士」が地味スゴって話
「映画で美活する」映画美容ライターの此花さくやです。
今日は、2月25日(土)に公開される映画『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士』のコノ話です。
どうですか、このビジュアル? どこからどう見ても重そうな映画ですよね。そのとおり、テーマはおも~いです。観た後は誰しも「ヒューマニティって何!?」と自問自答しちゃう作品です。心の美容にもたまには真面目な刺激がないとね。
ミルグラム博士の“アイヒマン実験(ミルグラム実験)”はアメリカの心理学入門では必ず習う実験です。“パブロフの犬”並に有名で、私もアメリカの大学1年生のときにPsychology101で学んだ記憶があります。
ミルグラム博士はホロコーストを逃れてNYに移住した両親をもつユダヤ系アメリカ人。「なぜナチスの大量虐殺をドイツ国民が許してしまったのか?」という問いに答えるべく、“権威に対する服従心理”を科学的に証明しようと、アイヒマン実験を試みました。
人はなぜかくもたやすく権威に服従するのか……!?
その答えはぜひこの映画をみてください! モレなく答えを見つけることができますよ!!!
さて、ストーリーはミルグラム博士の実験を映画化しているのですが、スローペースでとくにドラマチックなシーンもないのにもかかわらず、斬新な映像と演出、そして何よりも、ピーター・サースガードの名演技で観客を飽きさせないんですよ~!
監督は『ハムレット』や『アナーキー』のマイケル・アルメイダ。演劇と映画を上手に融合する監督の手腕はこの映画でも発揮されていたと思います。
しかし……それもピーター・サースガードの見事な演技があってからこそ~! 静かな苦悩に満ちた心理学者然としたアクティングはあっぱれです! イケメン俳優のような三枚目のようなどっちつかずのルックスで、鼻にかかる声が妙に怪しくてセクシー。この映画でピーターの自然な迫力ある演技に恋しちゃいました~笑。こういうルックスの俳優が最初は名脇役として名をあげて、最後に良質な映画で主役をはっちゃうんだろうな。派手さはないけれど確実に名優になりそう~。
ちなみに、ウィノナ・ライダーも博士の妻役で出演していますよ。人気絶頂期の彼女なら出演しそうにない映画かも~笑。
余談ですが……ピーター・サースガードといえば、ちょっと古いけれど私のお気に入りの作品は↓
ロネ・シェルフィグ監督でキャリー・マリガン主演の『17歳の肖像』(2009年)です。
地味だけれど質の高い映画をみたいときは、『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士』がオススメですよ!
2017年2月25日、新宿シネマカリテほか全国順次公開
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